瑠璃寺の青獅子 - ほほえみ

　　瑠璃寺の青獅子１７

「獅子よ。やっと完成したぞ。
後は、色をぬり、金箔をはるだ
けじゃ。
そうそう、頭へ毛もつけなくて
はいけないのぅ。
どれ、明るい太陽の下で、おま
えの顔をじっくりみてみよう」

そういって、男は立ちあがろう
としました。
でも、立ちあがれません。
男は、体の具合でも悪いのでし
ょうか。

やっと立ちあがった男は、よろ
よろしながら、滝へむかって歩
いていきます。
和尚は、男にみつからないよう
に、そっと後をつけました。

滝へついた男は、不動明王にお
参りしました。
「不動明王さま。やっと獅子頭
ができました。
後は、色を塗り、金箔をおすだけ。
もう少しで、獅子頭が完成します。
しっかり守っていただきありがと
うございました」

　　　　　　　　　　　　　つづく

　　　　前回の分は、こちら。

　　　　初めて読んでくださったかたへ

「瑠璃寺の青獅子」は、信州の伊
那谷にある「瑠璃寺」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。

物語の無断転載・再配布を禁止し
ます。