古事記神話「古事記物語」


   沼河比売 8


遠い越の国に、賢くて美しい女性
がいると聞き、求婚するためやっ
てきました。
刀の緒もとかず、旅の支度もとか
ずに、こうしてあなたが寝ている
部屋の戸を押し、ゆさぶっている
のです。



あなたからの返事を待っていると、
山ではとらつぐみが鳴き、野では
雉がけたたましく鳴いています。
そして、庭ではにわとりが時をつ
げています。
なんといまいましい鳥たちだろう。
どうか鳥たちのうるさい鳴き声を
とめておくれ。
こんな意味の歌でした。


      つづく