海彦山彦


   海彦山彦 7


そんなある日。
山彦はまた海へ行き、ぼんやり海
をながめていました。
「兄さんは、なぜ大事な剣で作っ
たつり針を、受け取ってくれない
のだろう。つり針をなくしたこと
は悪いけれど、かわりのつり針を
受け取ってくれてもいいじゃない
か。兄さんのいじわる」
山彦は、海に向かってつぶやきま
した。



そこへ、塩椎神(しおつちのかみ)
が通りかかりました。
「山彦よ、何を嘆いているのじゃ」
「私は、魚を釣ってみたいと思い、
兄と道具の取り換えをしました。そ
して、兄が大切にしているつり針を
なくしてしまったのです。


         つづく