海彦山彦


   海彦山彦 8


自分の剣でたくさんのつり針をつ
くり、許しをこうたのですが、兄
は許してくれません。元のつり針
でなくてはだめだといって、つり
針を受け取ってくれないのです」



「そうか。そんなことで悩んでい
たのか。わしにいい考えがある」
「ほんとうですか」
塩椎神は、細かく編んだ竹の籠で、
舟を作ってくれました。



「さあ、この舟に乗りなさい。わ
しが舟を押すから、しばらくその
まままっすぐに行きなさい。そう
すれば、よい潮の道がある。その
道にそって行けば、魚の鱗のよう
に並んだ大きな宮殿がある。それ
が、綿津見神の宮殿じゃ」


         つづく