海彦山彦


   豊玉比売 6


「山彦さま。娘の豊玉比売をもら
っていただけないだろうか」
海の神は、たくさんの結納品を、
立派な台にのせ用意しました。



その日。
山彦と豊玉比売は、結婚しました。
そして、海の神の宮殿で、豊玉比
売と幸せに暮らしました。



三年がすぎたある日。
山彦は、大きなため息をつきました。
「兄のつり針の件で、豊玉比売に相
談しようとここへ来たのに、そのこ
とをすっかり忘れてしまっていた」と。


        つづく