海彦山彦


    塩満珠と塩乾珠 1


「兄さん。ただいま」
「山彦、どこへ行っていたのだ」
「兄さんのつり針を探していました。
やっとつり針がみつかりました」
「ほんとうか」
「はい」



「兄さん。つり針を返すので、後
を向いてください」
「なぜ後を向くのだ」
海彦は、しぶしぶ後を向きました。



「このつり針は、ぼんやりの針・
猛り狂う針・貧しい針・役立たず
の針」
山彦は小声でつぶやきながら、
海彦につり針を渡しました。


        つづく