竹取物語


くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 8


おじいさんが、皇子に聞きました。
「この木は、どんな所にはえてい
たのかね」と。
すると、皇子が話を始めました。



二年前の二月十日。
難波から船に乗り出発しました。
蓬莱山の方向がわからないので、
心細かったけれど、風にまかせて
航行しました。
航海を続けていれば、いつかきっ
と蓬莱山にたどりつくことができ
るだろうと思いました。



波の荒い日が続き、船が沈みそう
になったり、知らぬ国に吹き寄せ
られ、鬼のような怪物に殺されそ
うになったり。


        つづく