竹取物語


阿倍の右大臣と火鼠の皮衣 6


安倍は、化粧を丁寧にして、出か
ける支度をしました。
かぐや姫の婿として、屋敷に泊ま
ることになるだろうと思い、木の枝
に歌をつけて持って行きました。



 かぎりなき思ひに焼けぬ皮衣

 袂かわきて今日こそは着め



安倍は、火鼠の皮衣を持って、
かぐや姫の家へ行きました。
おじいさんが、皮衣を受け取り、
かぐや姫にみせました。



すると、かぐや姫が。
「立派な皮ですね。でも、これが
本物の火鼠の皮衣だという証拠
は、何もありません」


         つづく