竹取物語


帝のお召しに応じないかぐや姫 16


七月十五日の夜。
かぐや姫は縁側に出て座り、月を
みながら、物思いにふけっています。
「姫さまは、月をみて、何か心を動
かされているようです。ただごとで
はありません。何か悩み事がある
のでは・・・。気をつけて、姫さまの
ことをみてあげてください」
姫に仕えている人が、おじいさんに
お願いしました。



「姫。月をみて、物思いにふけって
いるようだが、何か悩み事があるの
かね」
おじいさんが、聞きました。
「月をみると、心細くしみじみした気
持になりますが、何も悩み事はあり
ません」と。


         つづく