火とぼし山


  次郎、西の村へ 9


「十日後に、会おう」
「次郎さん。場所がわかるように、
うんと大きな火をたいてね」
「うん、わかった」
きよと次郎は、かたく約束しました。



二人は、おさななじみ。
小さな時から、仲良しでした。
「きよちゃんと次郎ちゃんは、ほ
んとに仲がいいね。兄と妹みたい」
といわれて、大きくなりました。



二人は、花が大好き。
休みになると、霧ケ峰高原へ花をみ
に行きました。
春は、座禅草やすみれを。
初夏には、れんげつつじを。
夏には、日光きすげを。
秋には、松虫草やすすきをみに行
きました。


         つづく