火とぼし山


  湖の氷の上を歩く娘 3


「あぶない」
「そっちへ行ってはだめ」
明神さまは、はらはらしながら、
娘の後をついていきました。



「娘よ。なぜ湖の氷の上を歩く
のじゃ。湖の氷は、まだ薄い。
湖に落ちれば、死んでしまうぞ。
このわしでさえ、今夜初めて氷
の上を歩いたのじゃ。おまえは、
ほんとにむてっぽうな娘じゃのぅ」
明神さんは、心の中で娘に話し
かけました。


       つづく