火とぼし山


  湖の氷の上を歩く娘 8


「うまいっ」
次郎は、うまそうに酒を飲みま
した。
「きよちゃん。この酒、温かい。
どうしたの」
「次郎さんのことを思いながら、
歩いてきたの。それだけよ」



きよちゃんは、おらのことをこ
んなにも思っていてくれる。
次郎は、幸せでした。



「ほんとに仲のいいカップルじゃ
のぅ。みていても、うらやましい
くらいじゃ。娘の名前は、きよ。
青年の名前は、次郎というのか。
やさしそうな、感じのいい娘じゃ
のぅ。娘のあのうれしそうな顔。
なんてすてきな笑顔だろう」


        つづく