火とぼし山


  湖の氷の上を歩く娘 9


娘をみとどけ安心した明神さまは、
下諏訪の奥さんのやしきへいそぎ
ました。
「ただいま」
「おかえりなさい。遅いから心配
していたのよ」
奥さんが、ほっとした顔でいいま
した。



「ここへくる途中、湖の氷の上で、
娘に会ってのぅ」
「氷の上で、娘さんに?」
「湖の氷は、まだ薄い。娘が湖に
落ちたら大変だと思って、そっと
後をつけたのじゃ。


        つづく