火とぼし山


  湖の氷の上を歩く娘 7


「私、一分でも早く、次郎さんに
会いたかったから」
「きよちゃん。湖の氷は、まだ薄
い。氷が割れたら、どうするの。
こんな寒い夜、湖に落ちたら死
んでしまうよ。たのむから、危険
なことはしないでね」
次郎は、きよのことが心配でした。



「次郎さん。はい、お酒」
「お酒?」
「寒いから、次郎さんに飲んでも
らおうと思って、持ってきたの」
きよは、小さなとっくりを、次郎に
わたしました。


        つづく