火とぼし山


  湖の氷の上を歩く娘 11


「なんでございましょう」
「夜中に、湖の氷の上を歩く娘が
いるのじゃ」
「氷の上を歩く娘? 明神さま。湖
の氷は、まだ薄い。氷の上を歩く
なんて、危険です。こんな寒い日
に、湖に落ちれば死んでしまいま
すよ」
足長が、心配していいました。



「だから、娘が湖に落ちないよう
に、二人でみはっていてほしいの
じゃ」
「明神さま。娘は、なぜ氷の上を
歩くのでしょう。しかも、夜中に」
手長が聞きました。


         つづく