火とぼし山


  湖の氷の上を歩く娘 12


「大好きな青年に、会うためじゃ。
湖の氷の上を歩けば、短時間で青
年の所へ行ける。娘が毎晩会いに
行くとは思わないが、娘をみはって
いてほしい。手長と足長に頼んで
おけば、安心じゃからのぅ」



「明神さま。その娘は、どこに住
んでいるのですか」
「どこに住んでいるか、わしも知
らん。今夜会ったばかりだから。
でも、湖の東側に住んでいるこ
とだけはたしかじゃ。名前は、き
よというらしい」


        つづく