火とぼし山


  月に一度の出会い 1


寒さの厳しい諏訪にも、ようやく
あたたかな春がやってきました。
諏訪湖の氷も、とけはじめました。



今日は、次郎と会う日。
きよは、湖のまわりを歩いていく
ことにしました。
湖のまわりを歩くと、氷の上を歩
く何倍もの時間がかかります。
きよは、一分でも早く、次郎の所
へ行ける方法はないものかと考え
ました。



「湖を泳いで行ったらどうだろう」
きよは、湖の中へ手を入れてみま
した。
氷がとけ始めた湖は、驚くほど冷
たく、泳いでいくことは無理でした。


        つづく