火とぼし山


  月に一度の出会い 4


「きよちゃんの手は、温かいんだ
ね。ちょっとさわっていい」
「どうぞ」
きよは、手をさしだしました。
その手は、びっくりするほど熱い
手でした。



「きよちゃん。熱があるんじゃな
い? だいじょうぶ」
次郎が心配して聞きました。
「熱なんてないわ。次郎さん、心
配しないで。私の手は、いつも熱
いの。さあ、冷めないうちにお酒
を飲んで」
きよは、次郎に酒をすすめました。


         つづく