火とぼし山


   月に一度の出会い 6


何に対する不安なのか、次郎にも
わかりませんでした。
次郎は、きよのそばにいると、ほ
っとします。
そして、心がなごみました。
「きよちゃんて、ふしぎな人だな」
次郎は、きよと会うたびにそう思
います。



次の朝。
「次郎さん。今度は、いつ会えるの」
きよが聞きました。
「今、野良の仕事が忙しい。だから、
今度会うのは、一カ月後かな」



「一カ月後?」
「そう、一カ月後」
「一カ月も、次郎さんに会えないの。
そんなのいや。私、毎晩でも次郎さ
んに会いたい」
きよは、自分の気持を伝えました。


       つづく