火とぼし山


  月に一度の出会い 8


「おれ、きよちゃんと会う日には、
家に用事があるといって、ここへ
きていたんだ」
「次郎さん。なぜ、ほんとのことを、
主人にいわなかったの。最初にき
ちんと話しておけば、なんでもない
ことなのに。次郎さんは、私と会う
ことが迷惑だったの」
きよが、強い口調でいいました。



次郎は、こんなきよをみたことが
なかったので、びっくりしました。
「いや、ちっとも迷惑ではない。
ただ、きよちゃんのことを、主人
に話せなかったんだ」


        つづく