火とぼし山


   湖を泳ぐ娘 7


「次郎さん、こんばんは」
「きよちゃん。今夜は、ずいぶん
早かったね。どうしたの」
「私、湖を泳いできたの」
「えっ、湖を?」
次郎は、驚いて聞きました。



みると、きよの髪から、しずくが
ぽたぽたとたれています。
「私、一分でも早く、次郎さんに
会いたかったから、湖を泳いで
きたの」


        つづく