火とぼし山


   湖を泳ぐ娘 9


「きよちゃん。いくら明るくても、
昼間とはちがうんだよ」
「たとえ、真っ暗でも、次郎さん
がともしてくれる火を目印に泳い
でくるから平気よ」



きよのことばを聞き、自分がとも
す火が、どんなに大切な火である
かということを、次郎は知りました。

そして、「きよちゃんは、おらがと
もす火を目印に、ここへたどりつ
いているのだな」と、次郎は思い
ました。


        つづく