火とぼし山


   湖を泳ぐ娘 31


「次郎さん。うそつきなんていっ
て、ごめんね。でも、次郎さんは、
ほんとのことをいっていない」
「きよちゃん。おれ、うそなんか
いっていない」
「ほんと? 次郎さん」
「ほんとだよ」
きよは、次郎の顔をじっとみました。



次郎は、目をそらしました。
「私にはわかる。次郎さんが、その
人と会っているということが」
「・・・・・・」
「次郎さん。その人と会っているで
しょ」
「きよちゃん。なぜわかるの」


       つづく