火とぼし山


    湖を泳ぐ娘 30


「考えすぎだよ」
「じゃあ、見合いをした人と会
うため」
「その人とは会っていない」
次郎が、ぶっきらぼうにいいま
した。
「なんて冷たいいいかたなのだ
ろう」
きよは、心の中でつぶやきました。



「次郎さんのうそつき」
きよが、強い口調でいいました。
次郎は、はっとしました。
「おれが、うそつき?」
大好きなきよから、うそつきと
いわれ、次郎はショックでした。


     つづく