火とぼし山


  新しい出発 1


九月八日。
残暑のきびしい日でした。
今日は、次郎と会う日。
「とうちゃん、かあちゃん
これから次郎さんの所へ行って
きます」
「きよ、気をつけて行くんだよ。
次郎君によろしくな」
父と母が、庭先まで見送ってく
れました。



きよは、元気よく家を出発しま
した。
「無事に向こう岸へ渡れますよ
うに」
そう祈りながら、きよは湖を泳
ぎ始めました。


      つづく