火とぼし山


   湖を泳ぐ娘 34


その日、きよと次郎は、きまずい
ままで別れました。
こんな別れ方をしたのは、初めて
でした。



私は、今でも次郎さんが大好き。
でも、次郎さんの心の中には、私
以外の人が住んでいる。
その人は、大きな農家の一人娘。
その人と結婚すれば、次郎さんは
一生気楽に暮らしていけるものね。
だから、次郎さんは、私がじゃまな
のではないだろうか。



きよは、次郎と過ごした日々を思
い出しながら、とぼとぼと家に帰
りました。
「私と次郎さんは、これからどう
なるのだろう。いつか次郎さんと
別れる日がくるのだろうか」
きよは、不安な気持で、毎日を過
ごしました。


       つづく