火とぼし山


   新しい出発 10


手長は、長い手で、うずの中をか
きまわしました。
しかし、何もひっかかってきません。
「あぶない。あなた、気をつけて」
「手長。おまえこそ、気をつけろ」



二人は、何度もうずの中へひ
きこまれそうになりました。
「手長、もうやめよう。こんなこ
とをしていると、わしらまでうず
にまきこまれてしまう」
「あなた。きよのために、もう少
しがんばりましょう」


        つづく