火とぼし山


  新しい出発 24


「私は、うずにまきこまれたこと
も、助けていただいたことも、何
もおぼえていません」
「そうか。おぼえていないのか」
「ええ、何もおぼえていません」



きよは強いショックを受け、すべ
ての記憶がなくなっているようで
した。
記憶がないまま、生まれ育った諏
訪で暮らすのもつらかろう。
きよが生きていることを知ったら、
次郎がまた何かするかもしれないし。


       つづく