火とぼし山


  新しい出発 27


「やはり、きよは何もおぼえて
いないのですね。自分の名前
も、大好きだった次郎のことも、
みんな忘れてしまったなんて。
かわいそうに」
手長は、きよの気持を思うとや
りきれません。



「手長、足長。そういうわけな
ので、きよが眠っている間に、
静岡までつれていってほしい」
「はい、わかりました」


       つづく