火とぼし山

[童話]火とぼし山


火とぼし山 67


湖を泳ぐ娘 13


「きよちゃん。今、野良の仕事が忙しい。だか
ら、無理だよ」
「そんなことをいって、次郎さんは私と会うの
がいやになったんじゃないの」
きよがさみしそうにいいました。


「考えすぎだよ」
「じゃあ、見合いをした人と会うため」
「その人とは会っていない」
次郎が、ぶっきらぼうにいいました。
「なんて冷たいいいかたなのだろう」
きよは、心の中でつぶやきました。
「次郎さんのうそつき」
きよが、強い口調でいいました。


       つづく