井戸で鳴く黄金色のにわとり

[童話]井戸で鳴く黄金色のにわとり


井戸で鳴く黄金色のにわとり 9


織田信忠といえば、昔信玄おじさまの娘・
松姫さまと婚約していたかた。
戦国の世でなければ、信忠さまと松姫さま
は夫婦になっていただろう。
松姫さまは、婚約が破棄されてからも、ず
っと信忠さまのことをしたっていると聞い
ている。


「いよいよ、おそれていた戦が始まるのか」
姫は、城下の人々のことを心配しました。
「吉岡城の下条が、織田に降参したらしい」
松尾城の小笠原も、降参した」
「飯田城の保科が、高遠城へ逃亡した」
こんな知らせが、毎日のように、信廉の元へ
届きました。


         つづく