日本武尊と明神さまの弓

[童話]日本武尊と明神さまの弓


日本武尊と明神さまの弓 20


大蛇は、二つの口で帯の両端をくわえると、
がばっと立ち上がりました。
頭が二つ、体が一つの双頭の大蛇でした。
「これが、弓の正体じゃ」
厳かな声が聞こえてきました。


大蛇は、ぶるっと、大きく頭をふると、帯
を引っ張りました。
すると、湖を二つに分けるほどの、大きな
弓になりました。
「どうじゃな。これは、わしの使いをして
いる大蛇でのぅ。この湖の守り神なのじゃ」
「あっはっはぁー」
老人の笑い声が、森の中にひびきわたりま
した。
その森は、諏訪明神の社の森でした。


       つづく