日本武尊と明神さまの弓

[童話]日本武尊と明神さまの弓


日本武尊と明神さまの弓 19


ふと気がつくと、老人の姿がみえません。
「どこへ行ってしまったのだろう」
あたりをさがしましたが、老人はいません。


静かだった湖が、突然大きく波立ちました。
そして、湖の中から、大蛇の頭が二つ。
「その大蛇に、腰の帯をときくわえさせる
がいい」
どこからか、厳かな声が聞こえてきました。
老人の声でした。


たけるはいわれるままに、腰に結んでいた帯
をとくと、大蛇に向かってぽんと投げました。


        つづく