富士山の好きな少女

[童話]富士山の好きな少女


富士山の好きな少女 2


かなは、よちよち歩きの頃から、富士山を
みるのが大好きでした。
「このはなさくや姫さま。今日は、じいち
ゃんと一緒に、町へ行ってきたの。楽しか
ったわ」
母のいないかなは、富士山に住んでいるこ
のはなさくや姫に、その日の出来事をお話
していたのです。


近くに、たぬき湖という湖があります。
「湖に映る富士山が美しい」と評判でした。
かなとおじいさんは、時々たぬき湖へ行き、
湖に映る富士山をながめます。
「かな、知っているかい。富士山の真上か
ら、太陽がのぼる日が、年に二度あるそう
だ。その太陽をみた人は、一生幸せに暮ら
せるそうだ。でも、そんな幸運に恵まれた
人は、数える程しかいない。


        つづく