開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精


開善寺の早梅の精 15


どのくらいの時間がすぎたのでしょうか。
文次が目をさますと、美しい女の人も、おいし
い酒も、料理も消えていました。
文次は、一人ぽつんと、梅の木の下に立ってい
ました。


梅の花が、月あかりに照らされ美しくみえます。
何事もなかったかのように、梅の花の香りが、
あたり一面にただよっていました。
東の空が、だんだんに明るくなりました。
「ちゅん、ちゅん、ちゅん」
すずめのなき声も聞こえます。


         つづく