開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精


開善寺の早梅の精 16


「わしは、夢をみていたのだろうか。美しい
上品な女の人、舌がとけてしまいそうなうま
い酒、おいしい料理。あれは、夢だったのだ
ろうか。いや、夢ではない。わしは、梅香と
なのる女の人と、たくさんの歌をよんだ。ほ
んとに楽しいひとときだった」
文次は、小声でつぶやきました。


すると・・・。
風もないのに、梅の花びらが、ひらひらと文
次の上に舞いおりてきました。
そして、梅の花の香りが、いちだんと強くな
りました。


        つづく