開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精


開善寺の早梅の精 18


   梅の花匂ふ袂のいかなれば
   夕暮れごとに春雨の降る


文次は、「あの人の香りが残る袖は、毎夜私
の涙でぬれている」という意味の歌をよみま
した。
文次は、梅香のことがわすれられなかったの
でしょうね。


この歌をよんだ翌日、文次は戦場でなくなり
ました。
「この世の最後に、梅香さんと歌あわせがで
きて、わしは幸せだった。梅香さん、ありが
とう」 
そういって、文次はあちらの国へ旅立ってい
きました。


          おわり