硫黄岳に咲いた黄金色の花


昨日につづき、「硫黄岳に咲いた黄金色の花」
を紹介します。


   「硫黄岳に咲いた黄金色の花6」


ふくは、険しい岩場の生活に、だんだんあきて
きました。
「とうちゃんは、元気でいるかしら」
「たきたてのあたたかなごはんが食べたいな」
「大好きなりんごを食べたい」
「おいしい魚も食べたい」
そう思うと、ふくは急に家に帰りたくなりました。



秋になり、硫黄岳の木々も美しく紅葉しました。
そんなある日。
「白駒、おねがい。私を家につれていって」
「ふくさん、女神さまとの約束を忘れたのですか。
約束をやぶると、大変なことになりますよ」
「大変なことって?」
「女神さまとの約束をやぶると、あなたの命はあ
りません。私は、女神さまとの約束をやぶった何
人もの人をみています。
だから、ふくさんには、女神さまとの約束をさい
ごまでちゃんと守ってほしいのです」



「私は、女神さまのいいつけを守り、険しい岩場
にのこり、何百人もの人をすくいました。とうちゃ
んに会いたくても、私はじっとがまんしました。
ねぇ、白駒。三日位家に帰っても大丈夫でしょ。
すぐここにもどるから・・・。
おねがい。私を家につれていって。
どうしてもとうちゃんに会いたいの」
ふくは、ひっしで白駒にお願いしました。
白駒はこまってしまいました。



「三日くらいだったら、大丈夫だろう」
そう思った白駒は、しぶしぶふくを家に送ってい
きました。
「ふくさん、三日間だけですよ。三日たったら、
迎えにきますからね」
そういって、白駒は帰って行きました。


        つづく