竜の姿をみた少女


昨日につづき、童話「竜の姿をみた少女」を
紹介します。
初めてのかたは、「竜の姿をみた少女1−5」
を先に読んでくださいね。



   ・  竜の姿をみた少女 1

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060311

  
   ・  竜の姿をみた少女 2

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060312

  
   ・  竜の姿をみた少女 3    

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060313


   ・  竜の姿をみた少女 4

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060315


    ・  竜の姿をみた少女 5

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060316
 



       竜の姿をみた少女 6  
 
       
「わぁ、竜だー!!この湖には、竜がいたんだぁ」 
かなは、大声でさけびました。 
「かな。わしは、大昔この村に住んでいた三郎じゃ。
わしは、この村が大好きじゃ。だから、時々ここへ
遊びにくるのじゃ。
おまえとも、何度か話をしたのぅ。わしは、さっき
のじいさんじゃ。



かな、わしが住んでいる諏訪湖へつれていってあげ
よう。諏訪湖では、妻が待っている。
妻におまえのことを話したらのぅ、妻がどうしても
おまえに会いたいというのじゃ。
さあ、かな。早く、わしの背中へおのり」
おじいさんは、そういいました。



かなはいわれるままに、おじいさんの背中にのりま
した。
「かな、さあ、出発するぞぉ」
「はぁっ、はっ」
おじいさんは大きな息をはくと、かなを背中にのせ
て、空高くまいあがりました。
「わぁー、いいながめ」
 かなはおおよろこび。
いくつもの山や里をこえ、ふたりは諏訪湖へむかっ
てとんでいきます。



はるかむこうに、諏訪湖がみえてきました。
「かな、もうすぐ諏訪湖へつくぞー」
おじいさんがいいました。
諏訪湖は太陽にあたり、きらっきらっと輝いていま
す。
「なんて美しい湖だろう」
かなは、心の中でそっとつぶやきました。
「かなー、わたしはあなたに会えるのを、ずっと待
っていたのよぉ。早く、お会いしたいわー」
諏訪湖の方から、三郎の妻のやさしい声が聞こえて
きました。



かなの目には、諏訪湖のほとりで手をふっている、
着物姿の美しい人がみえました。
「なんて美しい人だろう。あのかたが三郎さまの奥
さまなのね」
「そうじゃ。あれがわしのじまんの妻じゃ。どうじゃ、
美しい人じゃろ。


         つづく




童話「竜の姿をみた少女」は、みほようこ
二冊目の童話集・「竜神になった三郎」の続
編。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

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