守屋山に黄金色の花が咲いた7
この黄金色の花は、誰にでも見える訳ではないぞ。
心の優しい人にしか見えないのじゃ。春になると、
おおぜいの人が黄金色の花をさがしにやってくるが、
誰の目にも見えないのじゃ。
明日兄にも黄金色の花をみせておやり。一本位は兄
にも見えるだろうから…。兄も今度こそよくなるだ
ろう。おまえの苦労ももう少しじゃ。いつまでも今
の優しい気持を忘れないようにな」
そういうと、明神さまは少女に黄金色の花を一株く
れました。
少女は家に帰り、明神さまからいただいた黄金色の
花を、兄にみせました。
兄は黄金色の花をみてにっこり笑いました。
「兄ちゃんはきっとよくなる。兄ちゃんはきっと優
しい人になれる」
少女は何年ぶりかの兄の笑顔をみてそう思いました。
重かった少女の心は、兄の笑顔をみて、少し軽くな
りました。
つづく
童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」は、
みほようこの初めての童話集・「風の神
様からのおくりもの」に収録されています。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
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