愛犬りゅう「ばいばい、またね」


  愛犬りゅう「ばいばい、またね」19 


大好きなハムの中に薬が・・・。


十二月末のある朝。
「りゅうに・・・を飲ませたいけれど、どうやって
飲ませたら良いかしら?」
「りゅうの好きなハムかちくわの中へ入れたらどう
だろう。知らずに飲みこんでしまうと思うよ」
「でも・・・りゅうは鼻がよいからね。うまくいく
かしら」



「うまくいくさ」
台所で、あーちゃんとこうちゃんが、なにかひそひそ
と話をしていた。
耳の良いぼくにも、「・・・」の部分は聞こえなかった。
「・・・」を飲ませるっていったけれど、何を飲ませて
くれるのだろう?
「ハム」「ちくわ」ということばが、耳に残った。
「大好きなハムとちくわを、ごはんの中に入れてくれる
のかな」
単純なぼくは、そう思った。



「りゅう、ハムをあげるから、おいで」
十時頃、あーちゃんが大声でぼくをよんだ。
ぼくはあわてて小屋から飛び出し、あーちゃんのそばへ
いった。


    つづく