ふしぎな鈴「朝顔のエスカレーター」


ふしぎな鈴「朝顔エスカレーター」8


空はまっさおで、黄金色の太陽が、目の前
にきらきらとかがやいています。
花のまわりを、白や黄や紫のちょうが、ひ
らひらまっています。



はるかむこうに、小高い丘がみえました。
丘の上で、誰かが手をふっています。
かなは丘にむかって、広い野原をどんどん
走りました。



「おとうさんではないだろうか」
丘の上で手をふっていた人も、かけおりて
きました。
やはりかなのおとうさんでした。
「とうちゃーん」
かなは、おとうさんの大きな胸の中に、と
びこみました。



大好きなおとうさんのにおいが、ぷーんと
しました。
「かなー」
おとうさんも、かなをしっかりだきしめま
した。
雪をみているうちに、かなはこたつの中で
うとうととねむってしまったのでしょうか。



    この章おわり



次は、「校長先生と桜の鈴」の章です。




ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の本。


リーン・リーン・リーン…。
500年の時をへて、心やさしい小桜姫と
現代の少女を結ぶ、美しい鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっと教えて
くれたお話。



「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。







http://www.bk1.jp/product/02593627