ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」


ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」3


「美しい桜だねぇ」
校長先生はにこにこしながらいいました。
かなは、おとうさんから聞いた小桜姫の話
を、校長先生に話しました。
校長先生はその話を知っていましたが、
「ほうー」「それで」「それからどうした
の」といいながら、かなのたどたどしい話
を、最後まで聞いてくれました。



話し終わったかなは、おとうさんからもら
った桃の鈴を、校長先生にみせました。
「リーン、リーン、コロンころん」
「リーン、リーン、コロンころん」
鈴の音を聞いた校長先生は、はっとしました。



「私はどこかでこの鈴の音を聞いたことがあ
る。どこで聞いたのだろうか?」
しかし、どこで聞いたのか、校長先生には思
い出せませんでした。



「リーン・リーン・コロンころん」
「リーン・リーン・コロンころん」
何度も鈴の音を聞いているうちに、校長先生
の頭の中に、遠い昔のある光景が、ぼんやり
浮かんできました。


          
       つづく



ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の本。


リーン・リーン・リーン…。
500年の時をへて、心やさしい小桜姫と
現代の少女を結ぶ、美しい鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっと教えて
くれたお話。



「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。











「校長先生と桜の鈴」の章の挿絵 (裏表紙)





http://www.bk1.jp/product/02593627