きよと清太と、そして白駒34
空には、まんまるの月がでています。
星もきらきら輝いています。
用意してきたちょうちんも必要ないほ
どの明るさでした。
二人は、白駒の背にのり、家にいそぎ
ました。
「とうちゃん。ただいま」
「ただいまもどりました。おそくなっ
てすみません」
「おかえり。遅いからどうしたのかと
心配していたのだよ」
長者が、ほっとした顔でいいました。
「とうちゃん。ゆうすげの花って、き
れいな花ね。私、時間がたつのもわす
れて、ゆうすげの花をみていたの。
おそくなってごめんなさい」
「無事に帰ってくれば、それでいいの
だよ。清太、遅くまでごくろうさん。
ふろに入って、早くおやすみ」
長者が、清太に声をかけました。
つづく
信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。
「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこが
書いた物語。