きよと清太と、そして白駒


   きよと清太と、そして白駒44


「いいえ、私こそ失礼なことをいいも
うしわけありません。
先日、霧ケ峰へゆうすげの花をみに行
った時、おじょうさまから縁談の話を
聞きました。



でも、私は、おじょうさまに自分の気
持を伝えることができませんでした。
長者さまには、私の気持を知っておい
ていただきたいと思い、つい話してし
まいました。どうか失礼をお許しくだ
さい」
清太は、深々と頭をさげました。



清太のような青年が、きよのむこにな
ってくれたら、どんなに良いだろう。
そして、二人で力をあわせ、この家を
守ってくれたら、どんなにうれしいこ
とか。
長者は、そんなことを考えていたのです。



「清太。おまえの気持は、よくわかっ
た。残念だが、清太には、これ以上わ
が家で働いてもらうことはできない」


            つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。