井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり24


次の朝。
「姫は、無事か」
「それが・・・」
「姫は、どうしたのじゃ」
「姫さまは・・・」
「はっきりいえ」



「姫さまは、井戸に身をなげたそ
うです」
「何? 姫が、井戸に身をなげたと」
「はい」
「なぜだ」



「逃げているうちに、おつきのも
のとはぐれてしまったようです。
そして、三河の兵士たちに、井戸
の所までおいつめられたようで」
「そうか。かわいそうに・・・」
信廉は、そういったままだまって
しまいました。


            つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州の伊那谷にあった「大島
城」に伝わっている話をヒントに
して、みほようこが書いた物語。