井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり22


すぐ近くに、城の井戸があります。
深い井戸でした。
姫は、しばらく井戸の囲みの中に
かくれていました。



「こんなところに、姫がいるぞー」
兵士の声がしました。
姫は、これ以上逃げることはでき
ないとあきらめました。



「おとうさま、もう逃げることは
できません。私は、敵につかまり
たくありません。だから、井戸に
とびこもうと思います。



おとうさま、大切に育てていただ
きありがとうございました。
おとうさまと過ごした日々、とて
も楽しかった。
おとうさま、ありがとう」
姫は、信廉にお礼をいいました。


            つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州の伊那谷にあった「大島
城」に伝わっている話をヒントに
して、みほようこが書いた物語。