井戸で鳴く黄金色のにわとり20
姫もこっこをだき、おつきの人と
一緒に、城をぬけだしました。
「武田が、城をぬけだしたぞー。
すぐ後をおえー」
信忠の声で、兵士たちが後を追い
ました。
「姫さま、さあ早く。
だいじょうぶですか」
「私は、だいじょうぶ。みなさん
は、私にかまわず逃げて。
一人でも多く助かってほしいの。
今までいろいろお世話になりまし
た。みなさん、ありがとう」
「私たちが、最後まで姫さまを
お守りいたします。
姫さま、あきらめずに甲斐へも
どりましょう」
おつきの人たちが、口々にいい
ました。
姫は、おつきの人たちと一緒に、
暗闇の中を逃げまわりました。
逃げまわっているうちに、姫は
おつきの人たちとはぐれてしま
いました。
つづく
前回の分は、こちら
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100922#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100904/#p2
「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州の伊那谷にあった「大島
城」に伝わっている話。
その話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。