赤い夕顔の花が咲いた


  赤い夕顔の花が咲いた21


重臣たちから、領民のことも少し
は考えるようにと忠告されたのに、
その忠告も無視してきた。
わしは、なんて情けない城主だっ
たのだろう」
盛永は、目の前で燃えている城を
みて、心の中でつぶやきました。




「殿様、どうかなさったのですか」
犬坊が心配して聞きました。 
「犬坊。戦とは、むなしいものじゃ
のう」
「ほんとにむなしいですね」
燃えている城をみて、犬坊がしん
みりいいました。




「犬坊。家臣たちは、無事に逃げる
ことができただろうか」
盛永は、家臣たちのことを心配しま
した。


           つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の最南
端にあった「権現城」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。