母の短歌86


掃きよせるも松葉のみなる師走の庭

   埃立つまでに白く乾きぬ



スズランも岩煙草も素枯れし庭に

   藪柑子の朱実色冴えて見ゆ



おしなべて素枯るる中に在りし日に

   夫の植ゑたる万年青勢ふ



子の大学合格祈りて小さき石に

   般若心経書きしも遠き思い出